2007年7月21日、22時を回って大阪中央区南本町の nu things へ行った。3周年記念PARTYということで、いつもの感じとは違う。入ったらDJがファンクを回してた。それから、ジャズがあって、クラシックの室内楽、そしてDJが続いて、バータイムになり、会話を楽しんで、朝の4時を過ぎてお店を出た。
写真左がこの夜のメインアーティストの室内楽グループTorio Liricの演奏。ピアノ、バイオリン、チェロにフルートが加わっていた。フルート奏者は右の写真のジャズに参加している。クラシックの演奏から始まるが、すぐに、スケジュールで告知されていたピアソラのブエノスアイレスを3曲。ピアソラの耽美なサウンドを目の前で聞く幸せ。その後は、曲によって、弦とフルートのメンバーを変えながら、クラシックの小品を次々とプレイしている。
いつもは、ジャズやロックに限定された空間にクラシック音楽が流れている。この異質さがおもしろかった。長い演奏だったけど、時間の経過とともにこの異質な感覚を楽しめて、アッというまに演奏が終わったという感じ。この夜は2回目のステージだったそうだ。まるで、18、19世紀を舞台にした映画の貴族の館での室内楽コンサートを想像させる nu things ならではの、わたしたちオーディエンスへのプレゼントとなった。
写真右はこの夜、急きょ設定されたジャムセッション風なプレイ。ピアノとベースのディオプレイで始まる。2曲目にヴォーカルが加わり、3曲目にさらに室内楽のグループからフルートが参加。写真はこの3曲目の「レフト・アローン」の演奏風景。リードするピアニストは3曲全てを内省的なバラードで通す。DJのファンクで浮かれていた空間をいっぺんにアンニュイな空気に変えてしまったときはおもしろかった。
それにしても、2曲目でいきなり入るヴォーカルさんは大変だなと思っていたら、曲の後半には自分の雰囲気を作っていた。だから、次の「レフト・アローン」はちょっとしたものだった。これはジャズ・ピアニストのマル・ウォルドロンが晩年のビリー・ホリデイに捧げた、とても陰気はバラード。もちろん、この夜のヴォーカリストに50年代末のビリー・ホリデイの退廃美を期待はしない。でも、この夜ならではのアンニュイな歌声がピアノに導かれるように滑り出す。う~ん、ちょっといい。こうして、昨夜を振り返って書いているんだけど、ボデーブロウのように時間が経つほどに効いてくるプレイだった。ちゃんと準備した演奏をじっくりと聞きたいと思った。
バータイムで若いロック・ベーシストと話しをしてたんだけど、この nu things は演奏してみたくなる空間だと言っていた。ふーん、そうなんだ。ここはそういうクラブなんだ。