Blue Note Trip シリーズは現在、5アルバムがリリースされている。『Blue Note Trip Jazzanova – LOOKIN’BACK/MOVIN’ON』は4枚目のアルバム。iTunes Store ではこの4作目と、5作目の 『Blue Note Trip, Vol. 5: Mashed』が購入できる。どちらも iTunes Plus でアルバム購入価格は1800円。
どちらを購入するか迷ったが、iTunes で試聴して4作目にした。50年代のハードバップファンなら、アーティスト名を見ただけで、4作目を選択するだろう。5作目の方はフィージョン系というか、メロディアスでムーディーな曲が多い。
この4作目には50年代、60年代のハードバップ・シーンから選曲されている。リー・モーガン(トランペット)、ケニー・ドーハム(トランペット)、ホレス・シルヴァー(ピアノ)など超有名ジャズメンからティナ・ブルックス(テナーサックス)のようなマニアックなファンに人気の高いミュージシャンまで入っている。ハードバップ・シーンであることには間違いないが、テンションが高く高速で疾走するような曲は入っていない。趣味のよいハードバップが並んでいるので、ジャズファンがバックグラウンドに流しておくには最適なアルバムだと思う。
たいていの曲はすでに聞いているが、1曲だけここに収められているすごい曲があるのを知って驚いた。チャーリー・ラウズ(テナー・サックス)の『Bossa Nova Bacchanal(Blue Note 4119)』から「Meci Bon Dieu」が入っていた。これがすごい。チャーリー・ラウズって、セロニアス・モンクのバンドのメンバーが長い。超個性派のモンクだったが、ラウズは個性派とはいえず、評価が低い。そなんことで、ぼくはこのアルバムの存在を知らずにいた。『Blue Note Trip Jazzanova – LOOKIN’BACK/MOVIN’ON』購入の最大の収穫だ。
もう1曲は思い出。エディ・ゲイル(トランペット)のアルバム『Black Rhythm Happening(Blue Note 4320)』からの「Song of Will」が入っている。エディ・ゲイルはハードバップとは異質な存在だ。ぼくはゲイルのファースト・アルバム『Ghetto Music(Blue Note 4294)』をリリース当時、無知なままジャケットが良くて買っていた。10名ばかりのメンバーが全員フードを被った秘密結社のような写真だ。当時はアメリカの黒人の公民権運動が先鋭化していた頃で、ジャケット写真のただならない雰囲気に威圧されるように買ったことを覚えている。あれから40年が経って、いまはこうして Jazzanova が選曲している。ちょっと感慨に浸ってしまう。
本アルバムの購入は先月、アップルストアから iTunes Music Card をもらうという幸運があったからなんだ。で、iTunes Store から初めてアルバムの購入となった。本アルバムは全25曲と多く、すんなりとダウンロードができなくてあせった。たぶん、わが家のマンションタイプの光ファイバーの混雑だと思う。翌日にはすんなりと残りの曲がダウンロードできた。でも、ダウンロードが未完了で iTunes を終了させて、継続できるのかなど、いらぬ心配をして時間を使ってしまった。なんでも、初めての経験は時間が取られる。