アンジェラ・バレット絵の絵本 / 絵本 アンネ・フランク

アンジェラ・バレットは『白雪姫』を見て、たちまち虜になった。シーンの空気さえも描いているような精緻な絵だが、『白雪姫』は所詮、物語の世界だ。現実と物語には越えられない壁がある。しかし、『絵本 アンネ・フランク』はこちらの世界の物語だ。その分、絵に凄みを感じる。

アンネ・フランクはあの『アンネの日記』のアンネだ。アンネが生まれてから、終戦直前にナチスに連行されるまでの物語だ。ヒトラーのナチス党が台頭してきて、勢力を伸ばすに従って、こどもだったアンネたちユダヤ人へのいじめや差別が日増しに強くなる。その様子をアンジャラ・パレットが描き出す。物語でない、リアルな世界ならではのパワーがみなぎっている。

それに、この絵にパワーを与えているのは、物語ではないのはもちろんだが、過去の現実でもないという確信ではないかと思う。9.11以降つづく理不尽な出来事。ヒトラーのナチスや朝鮮半島や大陸に侵攻したかつての日本軍が、過去の出来事として片付けられなくなった「今」だからこそ、描かれもし、人に大きな不安を与えもする絵本だと思う。もちろん、ジョセフィーン・プールの本文もすばらしい。

絵本 アンネ・フランク
文:ジョセフィーン・プール
絵:アンジェラ・バレット
訳:片岡しのぶ
発行:あすなろ出版(2005年4月)

Anne Frank
by Josephine Poole
Illustrated by Angela Barrett
Text copyright (c) 2005 Josephine Poole
Illustrations copyright (c) 2005 Angela Barrett

《アンジェラ・バレットの絵本 ほか》
キッチンの窓から / アンジェラ・バレットの絵のあるイギリスのクッキングブック
スノーグース / アンジェラ・バレットの素晴らしい絵
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Angela Barrett の美しい絵本/Snow White

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カテゴリー: 絵本