街に明かりがともり、夜が始まるたそがれどきは昼の世界からアナザワールドへ踏み出すとき。すっかりと忘れていた幼い時の、たそがれどきの不安と期待を甦らせてくれる不思議な絵本。と言って、妖精やおばけが出てくるわけではない。ごく、日常が描かれるだけ。アン・グットマンとゲオルグ・ハレンスレーベンのコンビは有名な「リサとガスパール」シリーズの作者だ。ゲオルグ・ハレンスレーベンが絵を担当した「And If the Moon Could Talk」もまた、幼い少女が眠りに付くまでの幸せなひとときを描いたものだった。しかし、本書の少女はこの夜、一人で眠りにつく。
筆のタッチは以前の作品よりも大胆になっている。当然、細部は描ききれないが、その分、見る物の想像する領域が膨らむ。街の風景、部屋の情景が何げないようで、構図が練られているので、臨場感を強く受ける。そう、まるで、映画のワンシーンに入り込んだような、クラクラっとする錯覚を感じさせてくれる、とてもよくできた絵本だ。
夜になると
作 アン・グットマン&ゲオルグ・ハレンスレーベン
訳 今江祥智
発行 2005年12月1日 BL出版
QUAND VIENT LA NUIT
by Anne Gutman & Georg Hallensleben
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