先週の4月8日、西区新町4丁目の細野ビルヂング地下室にて、シリーズ・イベントの「Handshake 7」があった。この夜のメインアクターの恩田氏のパフォーマンスに感激した。2ステージあり、最初は Katsura Mouri とのディオ、最後にソロ・パフォーマンスだった。説明はなかったが、氏のサイトによると、カセット・メモリーズと名付けられたパフォーマンス・シリーズに違いない。手の中の小さなカセット・レコーダーの再生音は恩田氏の動きに同調したサウンドとなって、アンプを通して地下室を満たした。
一見、即興音楽のような振る舞いだが、サウンドにじっと耳を澄ましていると、それは厳密にコンポーズされたものに感じられた。その結果、一歩離れたところから氏自身の日本人を見ているサウンド、というように感じられ、そこに感激したんだ。ぼくはジャズをよく聞くけれど、日本人がジャズを演奏するのを聞いていると複雑な気持ちになる。ジャズは即興音楽だというけれど、それは精神性をみずからがコンポーズして可能なことなんじゃないかと思っている。感情表現に秀でている日本人にはたしてそれは可能なのか、ぼくはいつも疑問に感じている。
そういうことを考えずにジャズを演奏していると、それは単にジャズのようなサウンドにしかならないはずだ。逆に、自分が日本人から遊離できないことを徹底したのが、70年代のフリー・インプロバイザー阿部薫だったんじゃないかと思っている。「アカシアの雨がやむとき」という演歌をカバーした曲を阿部はよく演奏した。日本人には演歌しか出来ない、という阿部のメッセージだったんじゃないかと感じたのは、阿部に聞き惚れていた頃から30年以上も過ぎた最近のことだ。
恩田氏の演奏の渦中で妙にこの阿部薫を思い出していた。いや、氏は阿部とは違う。それがうれしかった。
Handshake 7
Live
Aki Onda
Aki Onda + Katsura Mouri
Rousalka
Toshio Munehiro
DJ
Koyxen
8th April 2006
Venue : Hosono Bldg.