ぼくが絵本を知るのは、デザイン関係の本を探して洋書売り場をうろつくようになってからだ。もう20年以上も前の話だけどね。幼少に絵本を親しむ環境はなかった。だから最初、ストーリーはどうでもよくて、気に入った絵であれば読めもしない原書を買っていた。イソップとかマザーグースのヴォウクは、ぼくが絵本を見る習慣のきっかけとなった作家の一人だ。細くて手早い手書きのラインに、薄い水彩絵の具をささっと塗ってあるのがヴォーグの絵。それは見ていて、とてもリラックスする絵なんだ。
ヴォーグには全くの幼児向け(でも、ぼくのお気に入り)の絵本もあるが、本書はちょっと文章の多い絵本だ。内容はなわとびの上手な少女の話。彼女の技は年ごとに評判になり、ついには妖精たちの耳にも入るようになる。そして、妖精からなわとびの指導を受けることになる。この物語の感動はそれから100年近く過ぎたときにやってくる。妖精と人間の出会う話はいつでもワクワクしてしまう。おまけにそれがシャーロット・ヴォークの絵だからたまらない。
文:エリナー・ファージョン(Eleanor Farjeon)
絵:シャーロット・ヴォーク( (c)2000 Charlotte Voake)
発行所:2004年 岩波書店
原題:ELSIE PIDDOCK SKIPS IN HER SLEEP