新聞特太明朝体と見まがう游築36ポ仮名書体

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「暮しの手帖」の表紙に使われている書体は、写植時代を知っているデザイナーなら、YSEM(写研の新聞特太明朝体)と思うでしょう。ぼくも懐かしくて保存してある写植書体見本帳を引っ張りだして確認したところ、微妙に違います。で、ネットで調べたら、游築36ポ仮名書体であることが分かりました。

大日本スクリーンの「ヒラギノ書体シリーズ」の「ヒラギノ明朝体」と「ヒラギノ専用仮名書体シリーズ」の「游築36ポ仮名」で組版されているものと思われます。

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ウエイトは表紙がW6で、右の本文中のタイトルはW3だと思います。本文そのものは仮名書体を使用せずに組んでいます。書体のサイトによると「游築」は「ゆうつき」と読むそうです。さらに読み進むと、東京築地活版製造所の「築地体三十五ポイント仮名」をもとに「游築36ポ仮名書体」が新しくデザインされたことが分かります。タイトルをクリックすると大日本スクリーンの「千都フォントライブラリー」サイトにリンクしています。書体見本も見やすく、歴史的背景に言及した解説も非常に充実したすばらしいサイトです。

「暮しの手帖」を買うことはほとんどありません。朝刊の広告を見ていたカミさんがスープの作り方が参考になりそうだと、買ってきたのを見たわけですが、ひさしぶりに文字組版の美しさを楽しみました。