悲しい日の Jimmy Scott / Unchained Melody

1131824167今日は、赤坂の Jazz Live Spot “B flat” のマスター、杉谷宏幸の告別式の日だ。今、ぼくは朝一番の新幹線に乗るべく、家を出る時間を待っている。宏幸とぼくは幼い頃から一緒に遊んだ同い年のいとこだ。17才の高校生の時、宏幸はぼくにジャズという音楽を教えてくれた。それが、今日の今日迄、音楽を聞き続けるぼくの始まりだった。20才前後は彼の部屋で、二人でレコードを聞きまくっていた。

その後、ぼくたちは違う土地で違う人生歩み、40年近く経った今から2年前、ぼくはB-flatのマスターがいとこであることをネットで知る。出したメールに長文の手紙とともに B-flat でのライブ録音版のCDが何枚か添えられていた。このJimmy Scottはその中の一枚だ。ぼくたちはB-flatで会うことを約束したが、それは仕事に追われるぼくの事情からまだはたせないでいた。あと数時間後の再会が宏幸の告別式であることがとても悲しい。

ぼくは、Jimmyをルー・リードのライブ・ビデオで知っているぐらいで、熱心な聴衆というわけではなかった。送られたCDも、このヴォーカリストの個性の強さから、聞くことはまれだった。宏幸の死が伝えられてから、ぼくは送られたCDを繰り返し聞いていた。その中でもJimmyの唄声が、まだ真っ暗な早朝の、今のような悲しい時間には、とてもかけがえのない一枚であることを知った。

JIMMY SCOTT / UNCHAINED MELODY
録音:”B flat”(東京・赤坂)2001年10月17日
TOKUMA JAPAN
TKCB72431