フレディ・ハバードとティナ・ブルックスの組合せがとてもいい。二人に続いてソロをとるデューク・ジョーダンのピアノもいい。デュークは40年代にチャーリー・パーカーのバンドに参加している。そのときのアルバムを何度も聞いている。このアルバムでもそのメロディアスなプレイが、若いハードバップのピアノプレイヤーとはあきらかに違う。
アップテンポの2曲目〈Up Tight’s Creek〉と5曲目の〈Miss Hazel〉は聞き慣れた50年代のハードバップ。これもいいが、このアルバムの特長は、1曲目の〈Good Old Soul〉、3、4曲目の〈Theme Fou Doris〉、〈Miss Hazel〉にあるのだろう。ブルックス独特の憂いのある音色、フレーズがたまらなくいい。〈Good Old Soul〉のちょっとかすれたサウンドが郷愁を誘う。
アイラ・ギトラーのライナーノーツによると、少し前のビバップやハードバップをプレイする若い黒人プレイヤーはビッグバンドで経験を積んだ。ところがティナ・ブルックスの時代になるとそのようなビッグバンドは姿を消した。彼らは、リズム&ブルース・バンドで演奏体験を積む。
そうなんだ、それで60年頃になるとハードバップの中にファンクが入ってきているんだ。60年頃はフリー・ジャズも含めて、ハードバップがさまざまなカタチに変化していくおもしろい時代なんだ。こんな時代に出会ったフレディ・ハバードとティナ・ブルックスは、このアルバムの6日前、フレディの初リーダーアルバム『Open Sesame』(Blue Note 4040)でも一緒に演っている。ティナは1974年、42才で亡くなる。若くして死んだせいかどうか知らないが、リーダー作もサイドマンとしてのアルバムも非常に少ない。フレディは08年12月29日に亡くなったばかり、享年70。
Tina Brooks, True Blue
Freddie Hubbard, trumpet
Tina Brooks, tenor sax
Duke Jordan, piano
Sam Jones, bass
Art Taylor, drums
1960年6月25日録音
Blue Note 4041
《このブログのティナ・ブルックス関連記事》
□ケニー・バレル / Blue Lights Vol.1(1958.5.14 Blue Note 1596)
□ケニー・バレル / Blue Lights Vol.2(1958.5.14 Blue Note 1597)
□フレディ・ハバード / Open Sesame(1960.6.19録音 Blue Note 4040)
□ティナ・ブルックス / Back To The Tracks(1960.9.1録音 Blue Note 4052)