海の仙人(新潮 2003年12月号)
一度読んでから、再読した。再読で深く楽しめた。33歳の勝男は敦賀に住んでいる。4年前には銀座のデパートの店員だったが、宝くじにあたって仕事をやめて敦賀に住んでいる。海岸でかりんと出会い恋仲になる。かりんは38歳、岐阜でハウスメーカーの設計課長をしている。
勝男には同世代の女友だち妙子がいる。デパート勤めの同期で彼女には何でも話しをする。妙子は勝男に惚れているが、勝男は女友だちの一線を越えようとしない。
勝男とかりんの間はセックスレスだが、彼は小学生時代に姉から性的DVを受けて、セックスができない。それを妙子には告白するが、かりんには言わないうちに彼女はガンで死んでしまう。
セックスレスの男女が醸し出す緊張、あるいはそこに漂う浮遊感に酔うように『海の仙人』を読み進めた。