1937年アメリカ映画、マーク・サンドリッチ監督。
もう何度も見ている映画だが、久しぶりでアステア、ロジャースがコンビの作品を見た。アステアの映画はMGM映画の方がカラーだったり豪華だったりするけど、古いRKO時代の白黒映画がやっぱりいい。それは、ジンジャー・ロジャースとのコンビという理由。この二人のダンスは他と比較できない。別格だ。コンビでの7作目とRKOの後半の作品だが、傑作だと思う。ダンス映画であると同時にこれはラブ・コメディとしてもかなりいい線をいってる。
アステアは、パリで有名なロシア人のバレーダンサー、ペトロフだが、実はアメリカ人。彼はパリで人気のアメリカ人ミュージカル・スターのリンダ(ジンジャー・ロジャース)に熱をあげていて、なんとか近づこうとしている。そんなとき、リンダは舞台の相手役に腹を立てて、ニューヨークへ帰ることになる。ペトロフは同じ客船に乗ってリンダと親しくなる。ところがペテロフは秘密に結婚していたというデマが流れ、その相手はリンダに違いないと世間は騒ぎ出す。
こんなゴタゴタに巻き込まれて二人は噂を沈めるには離婚するしかないと話しあう。それには一度結婚しなければならず、二人だけの簡単な式をあげる。そんななんやかやの中で二人は次第に、惹かれ合っていく。それで最後はもちろん、結ばれるハッピーエンドなんだけど、そこまでがドタバタ喜劇みたいに笑えるシーンが盛りだくさん。
好きなダンスシーンは、ニューヨークに戻った二人がクラブの客の前で初めて踊るところ。リンダはペトロフを避けている。なんとか二人に踊らせようとするマネージャーたちの策謀で、クラブのお客の前に並んだ二人が踊るシーンだ。リンダは踊る気はないが客の前だし・・・、「どうするの」とリンダ。「まわって」とペトロフ・・・、もーホントおかしい。この「まわって」にはもちろん初対面の時の伏せんがあるわけで可笑しいわけ。ぎこちない動きで踊りだしたリンダだがいつの間にか、流れるような動き、そして小気味のいいステップに変わっている。