2004年イギリス・アメリカ映画。チェ・ゲバラの若き日の南米旅行記『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行記』をもとにした映画だという。
ゲバラのベレー帽を被った写真やイラストは有名で、良く見るが、革命家ゲバラのことはよく知らない。まして若い頃がどんなだったかなんて全く知らなかった。この映画を見ると、チェ・ゲバラの青春時代が垣間見られるのかもしれない。階級闘争とか革命のシーンはないし、それらの言葉が語られることもない。ここには、ゲバラが革命に命を捧げるようになる心の芽生えが描かれている。その純粋な心は、見ていて少し気恥ずかしくなるほどだった。
1952年、ゲバラは友人のアルベルトと二人で南米旅行に出発する。アルゼンチンの生家からスタートするが、ゲバラは裕福な家庭に育ったんだ。知らなかったけど、やっぱりそうなんだと思った。カストロと共に起こしたキューバ革命が1959年だから、たった7年前のことになる。
南米各国を旅するうちにゲバラの心には、貧困が個別の問題ではなくて南米全体の問題として意識されるようになる。その心の過程の描き方がとても良かった。そして映画のクライマックスとなるハンセン病の専門病棟での滞在となる。ここでのゲバラの描かれ方は、革命という言葉こそ出て来ないものの、民衆に愛されるゲリラ戦士という風だった。感動的であるが、その過剰な純粋性の描かれ方のせいで、見ていてちょっと気恥ずかしくなった。