エレクトロニック・ミュージックを聞き始めて日が浅いので、このトリオを知らなかった。気になったのでネットで調べたら、ムチャ聞きたくなったわけ。それでライブはステージの一番前で聞いたよ。
モーリッツ・フォン・オズワルドとパーカッションのヴラディスラヴ・ディレイの中間で、オズワルドの表情が良く見える角度で最高の位置だった。ディレイはいろんな楽器を叩くんだけど、ペットボトルをマイクの前で握りつぶしたり、紙をクチャクチャしたりするおもろいパフォーマンスを目の前で見ていた。
濃密なアンビエントから始まって、いつしかダンステンポに変化している。この流れに身をゆだねる快感がたまらんかった。音楽は呪術だと痛切に感じた。現実と異界の境界をさまようが、向こうへ行ったら戻られへんがな・・・。ヤバい音楽だと我に帰る。
後半は変わって、すごいストイックでフリーな即興演奏。こないな音楽は70年代にヨーロッパのフリージャズのレコードで聞いてた。部屋の中で、レコードで聞くにはテンションが持続しなくて、つらいものがあったけど、目の前のライブでは苦痛じゃない。ただ、彼らの音楽と向き合う緊張は半端じゃなくってほんまに疲れた。ま、快感だけど。
でも、途中でフォン・オズワルドが肘で鍵盤をグリグリするところでは、目が合ったよ(と思う)。にっこりと微笑んだ表情に見ほれた。もちろんぼくもにっこりした。正確には何を見てたか確かなことは分からんけど、目が合ったと信じたい。嬉しかった。
最後はダンステンポで盛り上げて終わった。1時からの約1時間半のライブだった。オズワルド一人を残して二人は引っ込んだが、大きな歓声とアンコールの声に答えて、オズワルドが手招きして再び登場した。カーテンコールやな。
歓声が止んで一瞬の静寂の後、絶妙のタイミングでKihira NaokiのDJが始まった。あの瞬間は鳥肌が立った。でも、ぼくはもう立ってられなくて、フロアーを出てソファーに長いこと、へたりこんでいた。4時から始まったOoshima Shigeruの頃は体力も回復してたし、彼のサウンドにすっかりとハマってしまった。