『ブラック・マシン・ミュージック』のデトロイト・テクノとフリージャズのこと

野田努 著(河出書房新社、2001年8月発行)

まだ半分しか読んでないが、すごくいい本だと思う。前半は、70年代ニューヨークのディスコシーンの解説だが、この時代については他に何冊かの本で読んでいる。『そして、みんなクレイジーになっていく』や『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ-究極のDJ/クラブ・カルチャー史』なんかだ。この『ブラック・マシン・ミュージック』は、それから後のテクノについて書かれている。

そのデトロイト・テクノを解説する前に、サン・ラやファラオ・サンダース、アート・アンサンブル・オブ・シカゴといったフリージャズメンの名前が出てきたところで驚いた。他のクラブ・カルチャーの本でもジョン・コルトレーンやアルバート・アイラーは必ず出てくるフリージャズメンだが、サン・ラまで登場することはなかった。

ぼくは2年ほど前からクラブで音楽を聞くことを覚えて、現在までクラブ通いをしている。最初は、クラブへ行くこと自体が目的で、音楽ジャンルを気にせずに、都合のいい日にちに行っていた。しかし、次第にテクノのパーティに傾いていった。今では、テクノかハウスを選んで行っている。

とはいえ、テクノの名盤を聞いているわけでもなく、予備知識は全くなかった。それが本書を読む動機だが、デトロイト・テクノの前に予想もしなかったフリージャズが出てきたことに驚いた。とりわけ、サン・ラに多くのページをさいていることには感動した。

ぼくは、60年代中頃から10年ぐらい、フリー・ジャズに狂ってたんだけど、サン・ラは中でもよく分からないアーティストの筆頭だった。輸入レコードショップにはけっこうな枚数のLPレコードが入ってたはずだ。いかにもインディーズな安っぽいジャケット・デザインに学芸会風な衣装のサン・ラの写真があったりするやつだった。

当時のジャズ評論からもサン・ラについての情報を得ることはまれで(あくまで日本語)、ほとんど分からないままに不思議な魅力に惹かれて聞いていた。しかし、フリージャズファンでも、サン・ラを熱心に聞く人間に出会ったことはなかった。コルトレーンやセシル・テイラーなんかは、現代音楽を聞くインテリなんかでも聞くことができるけど、サン・ラはそういうスノッブを満足させる音楽ではなかった。

30年が経って、本書からサン・ラについて教えられてた。一時は、もう終わったと思っていたフリージャズだが、形を変えて今に継承されていると思うとムチャクチャに嬉しい。