映画『ジェイン・オースティンの読書会』を見る

ジェイン・オースティンの読書会 コレクターズ・エディション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2008-09-24)
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仲の良い文学少女たち5人の読書会の話で、やはり文学少女であるカミさんの勧めで見た。文芸作品だと思ってたが、なんのなんのスピーディな場面展開と笑えるシーンも多くて、とても楽しい映画だった。ジェイン・オースティンの知識があれば、何倍も楽しめる映画に違いない。

ジェイン・オースティンは18世紀から19世紀のイギリス中産階級に生きた作家。『高慢と偏見』が代表作で、メグ・ライアンとトム・ハンクスのラブ・コメディ『ユー・ガット・メール』では、文学少女を演じていたメグ・ライアンが『高慢と偏見』を200回は読んだと豪語する台詞があった。うちの文学少女も、何十回か読んでいるらしい。

『高慢と偏見』については、その文学少女からだいたいのストーリーを聞いているが、全く読む気になれない少女小説だ。少女小説というのは、この映画の中の一人の男性の台詞にあるんだが、もちろん少女趣味を皮肉ってるわけ。

世界中の文学少女たちを虜にするジェイン・オースティンの作品はまったく謎だ。恋愛小説といったって、ほぼ同時代のエミリー・ブロンテの『嵐が丘』にあるようなほとばしるパッションは無いらしい。ごく普通の恋愛小説らしい。この普通ってのが、一番やっかいなんだけど・・・。

このあたりから分かってくると思う。これは『ブロンテ姉妹読書会』じゃなくって、『ジェイン・オースティン読書会』でなくては話にならないってことが。この映画というか原作のうまいところは、こんな文学少女5人の中に、SFおたくの男性を混ぜたことだと思う。それは、会のメンバーの一人がナンパした年下の男だ。

このオタクの読書領域がぼくと重なるんで、ここんところはムチャおもろかった。まず、そそられた年上女性にル・グインをすすめる。SFは男の世界だから無縁、と決めつけている文学少女に、優れたSF作品を残した女性作家の存在を伝えようとするオタクのまじめ具合が(好意的に)笑えた。だから、やっぱり、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの名前が出た。男名前のペンネームでサイバーパンクの先駆的作品を発表していた女性SF作家だ。SFおたくには神のような存在のディックももちろん・・・。

そんなSFおたくには、クソおもしろくもないはずのフツー恋愛小説を読み続けるのは・・・、もちろんフツーの恋愛なんだよな。

(ロビン・スウィコード監督、2007年アメリカ映画)

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カテゴリー: Movie