中川正文 作、伊藤秀男 画(「絵本で子育て」センター、2009年4月発行)
ほんわかとシンプルなストーリーに、大胆で緻密な画の素晴らしい絵本。里山に暮らす人々がいきいきと描かれている。失われゆく里山への愛着が強い情念となって結晶化したみたいだ。とにかくすごい迫力に圧倒される。
豆腐屋さん家のニワトリ小屋がからっぽなんで、豆腐屋はキツネのしわざと早合点。キツネと仲良くしてるまんけはん家にどなりこむが、最後は豆腐屋が小屋の鍵を掛け忘れていただけという誤解が溶けて、村人がみんながキツネの巣の前で、宴会になるというほのぼのしたストーリー。
キツネはちょこっと、林に溶け込んで描かれるだけだが、愛嬌たっぷり。まんけはん家や和尚さんとこの飼い猫がとってもいい。
伊藤秀男の主な作品として、『じぼうぼん』、『海の夏』、『けんかのきもち』、『町のけんきゅう』、『ういお』、『うしおくんとはすひめちゃん』と巻末で紹介されている。