ESP-Disk/Caliber (2008-02-12)
売り上げランキング: 255877
ぼくはこのアルバムの録音された1965年頃からフリージャズを意識して聞き始めている。60年代はそのフリージャズをジャズ喫茶で聞くだけで、レコードを買う余裕はなかった。70年代に入るとレコードを買い始めるが、大阪梅田の阪急東通り商店街のLPコーナーで買うことが多かった。その狭い店舗で、ぼくはいつもESP盤のジャケットデザインに見ほれていた。
ジョン・コルトレーンやアルバート・アイラーをリリースしていたImpulse盤もたくさん買ったが、泥臭いジャケットで好きじゃなかった。Blue Note盤はセシル・テイラーやドン・チェリーを買った。Blue Noteは文句なしに素晴らしいが、洗練されたグラフィック・デザインにある種の距離を感じていた。そんな中で、ESP盤のデザインはモノクロの素人っぽいデザインだが、そこに距離を感じさせない親しみを抱いていた。
そのESP盤の中で、欲しいと思いながら買うことのなかったレコードの1枚が、このポール・ブレイの『Closer』だった。このレコードジャケットの写真はかなり強烈に訴えるものを持っているので、一度見たら忘れられない。ほとんど40年経って、先日、市立図書館でなにげにこのCDを見つけたときは、しばし感慨にふけってしまった。
聞くと、思っていた以上に凛々しく美しいサウンドだった。しかし、40年前の、フリージャズ時代の空気を運んできた。
ひとつ残念なことは、アマゾンのジャケットイメージが天地に圧縮されているので、ポール・ブレイの表情から精悍さが損なわれてしまっていること。
Paul Bley Trio / Closer
ESP 1021
Paul Bley, piano
Steve Swallow, bass
Barry Altschul, drums
1965年12月12日録音