最初のナンバー〈With A Song In My Heart〉がいい。ドナルド・バードのテーマから始まるがそのままソロに突っ込んでいく、次のジョン・コルトレーンに変わるときはとてもスリリングだ。。このアルバムではこのバードとコルトレーンの二人のプレイが好き。ソニー・クラークは本アルバムの4ヶ月後の『Cool Struttin’』(Blue Note 1588)がムチャ人気番だ。本作の『Sonny’s Crib』が『Cool Struttin’』ほど湿っぽくないのは、ドナルド・バードとコルトレーンのプレイがあるからだと思う。
とは言っても、ソニー・クラーク独特の哀愁を帯びたサウンドであることに変わりはない。ぼくもソニー・クラークには無条件に惹かれるところがあり、長いこと好きなピアニストだった。最近は、ボビー・ティモンズやホレス・パーランのブルージーな音色に聞き惚れているんで、クラークは以前ほど聞かなくなった。
原田和典『コルトレーンを聴け!』(ロコモーションパブリッシング発行)によると、クラークとコルトレーンの唯一の競演だとある。ぼくはそれが不思議でないと思う。それより、ドナルド・バードとコルトレーンの競演の方が気になる。ひょっとしたらこれが初競演かなと思って聞く気持ちになった。この二人はこのアルバムではかなりいい。
Sonny Clark / Sonny’s Crib
BLUE NOTE 1576
Donald Byrd, trumpet
Curtis Fuller, trombone
John Coltrane, tenor sax
Sonny Clark, piano
Paul Chambers, bass
Atr Yaylor, drums
1957年9月1日録音