Hurricane / デイヴィッド・ウィーズナーの絵本

HurricaneDavid Wiesner 著(1990年発行)

デイヴィッド・ウィーズナーの絵本としては、普通っぽい。両親に兄弟二人と飼いネコが一匹の家族がハリケーンを体験するストーリー。被害にあったわけではないが、ハイケンーンの過ぎ去る夜の不安と家族の温もり、そして嵐が去った後の兄弟の気分が鮮やかに描かれている。

今では停電を体験することもないが、子どもの頃は台風のときに何度か体験した。不安を感じつつ、ロウソクとランプの灯で家族が結束するという、なんとも言えない非日常性をこの絵本から思い出す。この絵本では家の前のニレの巨木が一本、倒れてしまう。その巨木を遊び場にするストーリーがメインとなっている。最後はもう一本残っているニレの巨木を見上げる絵だが、ハリケーンが子どもたちに木と触れ合う機会をプレゼントしたとも読める。

ぼくの場合は向かいの家に大きなクリの木があって、台風の後は強風で落ちたクリの実を拾ったものだ。絵本のニレの倒木とはスケールが違うが、台風のもたらした非日常性は忘れていない。ロバート・マックロスキーにも同じテーマの絵本がある(このブログ記事「Robert McCloskey(ロバート・マックロスキー)/ Time of Wonder」参照)。

ところで、本書に登場する飼いネコがすごくいい。兄弟が外で遊ぶときも、夜の寝室でもいつも飼いネコが一緒。ベタベタするネコじゃない、抱かれるのが嫌がるタイプ。ぼくが飼ってたネコもそうだった。向こうから膝に上に乗ってくるなんてことのないネコだった。逃げないように無理矢理抱き締めたりして遊んだけど、その感じがこの絵本でもとてもいい。

最後のネコの絵はやっぱりウィーズナーの世界・・・。ウィーズナーとしては普通っぽい絵本だけど、繰り返し見ていると愛着の増す絵本。

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カテゴリー: 絵本