さすらいの旅―続・生きのびるために / 戦火のアフガンを生きる子どもたちを描く児童小説

さすらいの旅―続・生きのびるために『生きのびるために』にはタリバン支配下のアフガン首都カブールが舞台だった。本書はその続編。姉の婚礼のために家族はマザリシャリフへ向かった。主人公のパヴァーナは刑務所にいる父が出所するかもしれないとカブールに残った。父は出所するが、マザリシャリフがタリバンに攻撃されたと知り、二人は家族に会うために徒歩でカブールを出発するとことで前編は終わっていた。この後編は旅の途中で父親が亡くなったところから始まる。

アフガンの荒野に一人とり残された少女が生き延び、最後は難民キャンプで母や姉たちと再会するまでが描かれている。荒野を生き延びること、そして難民キャンプの過酷さがリアルに伝わってくる。前編と同様、本書の内容も大変にきついが読み出したら、主人公の先行きが気になってついつい本を手放せない。

荒野を歩む途中で、赤ん坊を助けたり同じ世代の友を得る。子どもたち同士で助け合いながら生き延びるが、あるときを境に空爆が激化する。説明はないが、アメリカのアフガン空爆だと思う。夜を徹しての空爆に恐怖で寝付けない様子がとてもリアルだ。

読み終わって、後味の良い内容ではない。アフガンの過酷なことを知ってもむなしいだけだ。本書を読んだって、現地で起こっていることのほんのわずかのことしか知ることはできない。今日、アメリカの石油先物相場が7月につけた最高値からの下落率が7割を超えて40ドル割れ目前とニュースが報じていた。日本の株も続落を続けて7千円台。円は92円台。車の販売台数が激減・・・。大量消費時代が終わろうとしているのだろうか。

デボラ・エリス 作
もりうちすみこ 訳
さ・え・ら書房、2003年4月発行

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カテゴリー: 読書