地獄に堕ちた勇者ども / ルキノ・ヴィスコンティ監督

地獄に堕ちた勇者ども1969年イタリア映画。すごい映画だ、冷酷さが。1930年代始めのドイツ、ヒトラー首相率いるナチス党の台頭を背景に、巨大鉄鋼会社の一族が没落していく様子を描いた非情な映画。中学3年生のとき、ヴィスコンティ監督、アラン・ドロン主演の『若者のすべて』を見たのが、映画をアートとして見るスタートだった。だから、ヴィスコンティ監督はいつも特別な存在となっている。『地獄に堕ちた勇者ども』は封切りで見ているから、たぶん25歳頃だったはず。

強い衝撃を受けたが、複雑な人間関係をよく理解できなかったことを今でも覚えている。それから40年以上が経つ。途中、ビデオで見ているが、今は25歳のときと違って、人間関係の細部から、登場人物たちの心の綾まで良く分かる。あらためてすごい映画だと思う。25歳のぼくは、この衝撃的な内容を拒否していたのかも知れないとも感じた。ヘルムート・バーガーの演じるマルチンが母親のソフィー(イングリッド・チューリン)に行ったことなど。

イングリッド・チューリンは高校生のときに見たイングマール・ベルイマン監督の『野いちご』での知的でセクシーな印象をいまだに強く持ち続けているほどなので、この地獄での役はとても衝撃的なんだ。

バイセクシュアルだったヴィスコンティ監督ならではの映画は『ルートヴィヒ』だと思っていたけれど、こちらの『地獄に堕ちた勇者ども』の方が濃厚だと感じた。それにしても、シャーロット・ランプリングの美しさだけは、いつ見ても変わらない。

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カテゴリー: Movie