Text, Randall de Sève (2007)
Illustration, Loren Long (2007)
暑い真夏に眺めると、ぴったりの美しい絵本。少年はブリキ缶とコルク,鉛筆、白い布を使った手作りのボートを持っている。風呂にも一緒に入るし、寝るのも一緒。少年はいつもボートと一緒。ところがある日、ひもを付けて湖にボートを浮かべていたら、ひもがきれてボートは大きなうねりにのって沖へ向かってしまった。それからボートの冒険が始まる。波の絵が素晴らしい。
この絵本は単なる手作りボートのお話じゃなく、少年とボートの友情が押しつけがましくない程度に表現されている。そこがいいんだろう。以前に読んだ Holling C. Holling の『Paddle-to-the-seat』を思い出した。こちらはインディアンの少年が木彫りのカヌーを作り,それが山の小川から北米五大湖の一つに入り,ついには大西洋に達するという壮大な旅の物語だった。『TOY BOAT』はそのスケールにはとうていかなわないが、手作りボートに魂が宿る感じは同じか。