フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!―ウェブからリアルへの逆流が始まった / 小川浩 著

フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!―ウェブからリアルへの逆流が始まったフィードとかRSSとかが良く分かっていなかった。本書を読んでそれらについてだいぶんに理解できたと思う。著者の小川氏は株式会社サンブリッジmodiphi事業部のエグゼクティブプロデューサー。表紙の著者の名前の前にあるロゴマークはmodiphiのものだから、その宣伝みたいに見えるけど、実際はmodiphiには少ししか触れていない。本書を読んでRSSリーダーの必要性が良く分かったので、とりあえずmodiphiを使い始めた。それで感じたけど、本書でもっとmodiphiの説明があってもいいと思った。

しかし、本書はRSSリーダーの解説書ではなく啓蒙書。フィードもRSSも区別の付いていなかったぼくには基礎的な教養として役立った。本書では以下のように書かれている。

ブログは、記事を更新した際に、更新内容をXMLに即した記述方法で自動的にまためておくという機能を持っている。このXMLに即した記述方式は一般にRSSと呼ばれる。そして、このRSSが作り出す、新しいインターネットの情報の流れ「トラフィック」を、われわれはフィードと呼んでいる。(p29)

本書では最初の方で「インターネット」イコール「ウェブ」ではないと説明している。インターネットの利用方法はメールやゴーファー、FTPなどがある。しかしウェブの出現以来、ウェブはそれらをマイノリティにしてしまったと。ウェブは現在、インターネットの最も大きなトラフィックだが唯一のものではない。ここを抑えておかないとフィードが理解できない。

現在、ウェブの使われ方が変化し、ウェブに代わる新しいトラフィックが模索されているという。次に来るトラフィックがフィードというわけだ。なぜならウェブはたくさんの情報量があっても、アーカイブでしかない。フィードはウェブのような機能を持ちながら、時間の概念を持つ。これが重要らしい。

いまのインターネットがウェブを主体にしている限り、ウェブは現実世界からバーチャルな世界に入り込んでいくスタイルといえる。フィードは逆で、自分がネットの中に入り込んでいかなくても、バーチャル世界のデータをフィードが持ってきてくれるというわけだ。

これが本書のサブタイトルの「ウェブからリアルへの逆流」という意味だ。また、ウェブを代表するのがグーグルだから「グーグルの世界制覇を阻止する!」ことにもなるというわけ。著者の主張を受け入れるだけの知識もスキルもぼくには足りないが、現在のウェブを考える助けにはなってくれた。とりあえず「modiphi」は使って覚えようという気になった。

フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!
著者 小川浩
発行 ビジネス社、2007年7月

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