タイポグラフィを深く認識させてくれる刺激的な本。本書ではタイポグラフィを厳密に定義している。
「活字を正確に組み、その文字だけで内容にふさわしい本を作ることを本来『タイポグラフィ』という。」(カバーより)
本書はこのような本と端物や冊子など情報を伝えるための紙に印刷するタイポグラフィまでを対象にしている。
「タイポグラフィは実際の直接的なメディア以上であり、フィロソフィのない印刷物はタイポグラフィとはいわない。」(p7)
印刷物ならなんでもかんでもタイポグラフィってわけではないらしい。
「タイポグラフィの基礎を勉強しなくてもできるTypography?は別のものと解釈できるのです。」(カバーより)
シネマやテレビ、またインターネット上で表現するためのタイポグラフィは、コンピュータのアプリケーションを操ることで単独で成立する別次元のものとしてTypography?となっている。
しかし、Typography?の状況下にある人も、本来のタイポグラフィの基礎を少しでも習得することが望ましいと著者は書いているが、ぼくもウェブデザインだけをしていても本書を学習することは有益だと感じた。
図版も多用されて理解の助けになる。また、図版のレイアウト自体が刺激的で学習意欲がそそられた。タイポグラフィの優れた教科書だと思う。
《追記 2007.12.23》
大谷秀映著『The Helvetica Book ヘルベチカの本』に小泉氏がヘルベチカのTipsを書いている。その関連記事は「The Helvetica Book ヘルベチカの本 / 大谷秀映著のヘルベチカ書体の解説書」
新デザインガイド タイポグラフィの読み方
著者 小泉均
発行 美術出版社、2000年10月