ミロスラフ・サセックの絵本『ジス・イズ・エジンバラ』

エジンバラはスコットランドの首都。スコットランド女王メアリの子どもジェームス6世が、1603年にエリザベス女王が亡くなるとイングランド王の座につき、そのときからスコットランドとイングランドは連合国になった、と本書で勉強。そんなわけで、エジンバラはスコットランドの王や女王が何世紀にもわたって住んできたロマンティックで美しい都市であることが、本書から香りたってくる。ジス・イズ・シリーズの中でも、アイルランドと並ぶ力作だと思う。

小高い丘の上のお城、それを取り囲むように市街地が広がっている。そのお城と古い教会の尖塔などの調和がエジンバラの風景を作っている。古い路地も丹念に描かれていて、見る者をいやでもエジンバラの魅力に引きづりこんで行く。とてもいい感じの絵本。

ちょっと考えたら、わが街大阪だって、小高い上町台地に大阪城があり、四天王寺の塔や通天閣がある。港があるのだって同じだ。でも、なんかちがうんだよね。

もう、30年以上も前の話だけど友人がエジンバラの大学に留学した。最初の年は公園でパンを食べてるなんて苦学生ぶりを書いた美しい絵はがきが届いていた。数年すると、本場のモルトウィスキーなんかをもらった。遊びに来るように強く進められていたけれど、生活に追われていて結局は行けなかった。まとまった休暇をとれる状況になく、さりとて仕事を捨ててヒッピーみたいに旅に出る勇気もなくてあきらめたんだ。『ジス・イズ・エジンバラ』を見ながらいろんな事を思い出した。

ジス・イズ・エジンバラ
原題 This is Edinburgh
著者 ミロスラフ・サセック(Copyright 1961 by Miroslav Sasek)
翻訳 松浦弥太郎
発行 ブルース・インターアクションズ、2007年8月

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カテゴリー: 絵本