天狗の恩返し / お能の絵本シリーズ第2巻「大会(たいえ)」

太郎坊といういたずら好きの天狗が、都でとんびに化けて人々を驚かしてる。そしたら武芸者の気合いにあっさりと負けてしまい、子どもたちにいたぶられることになってしまった。みかねたお坊さんが助ける。夜中になって、とんびに化けていた天狗がお坊さんのお寺に現れて、お礼をしたいという。

お坊さんの願いはお釈迦様が生きていた頃の説法の教えを聞くこと。天狗はあっさり承諾するが、自分がお釈迦様に化けてお坊さんをだますというもの。それを知った仏さまをお守りする帝釈天が現れて、天狗をこらしめる。いたずら好きの天狗だが、お坊さんにはどこか憎めない。しかし再び姿をあらわすことはない。

このシリーズの1、3巻に比べるなら、余韻のない単調なストーリーで、単なる娯楽作品。それなのに絵が非常に説明的な画風。まるで、ぼくが子どもの頃に見ていた昔話の絵本のようでがっかりだ。古い話しを今に甦らせようという気迫がこの絵からは全く伝わってこない。こういうストーリーだからこそ、ここは大胆でアヴァンギャルドな絵を組み合わせたら、ちょっと面白い絵本になるはずだと思う。

《お能の絵本シリーズ》
天狗の恩返し / お能の絵本シリーズ第2巻「大会」
青葉の笛 / お能の絵本シリーズ第3巻「敦盛」
女の珠とり / お能の絵本シリーズ第1巻「海士」

〈お能の絵本シリーズ〉第2巻「大会」
天狗の恩返し
文 片山清司
絵 小田切恵子
発行 アートダイジェスト、2002年4月

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カテゴリー: 絵本