恋愛映画の傑作 / クローロ・オータン=ララ監督「肉体の悪魔」

1947年のフランス映画。ぼくはこの時代の古典的な映画を余り見ないけど、ストーリーが気になって見たわけ。第一次世界大戦末期、17才の高校生(フランソワ)が、軍人の婚約者のいる年上の女性(マルト)に一目惚れをする。二人で会っているうちに、互いに惹かれ合う仲になっていく。ある夜、桟橋で待ち合わせをするが、婚約者と会ったマルトに嫉妬心を抱いたフランソワは1時間も遅れて行く。しかも、遠くからマルトが待っているのを確認すると会わずにそのまま立ち去り、夏休みを田舎で過ごす。

夏休みが終わって、マルトと再会するが彼女は結婚をしている。フランソワは戦場にいる夫を持つ妻との不倫に走る。その最初の逢瀬がとてもいい。フランソワは雨の中、マルトのアパートに向かい、濡れた衣服のまま彼女の部屋に通される。待っていたマルトとフランソワの欲情が映画を見る者の胸を締めつけるように描写される。このシーンを見て、恋愛映画の傑作だと思った。

後は、マルトが身ごもるまでの同棲状態が続くが、二人が出会う最後の日がいい。食事をしながら、二人のことを小説に書くつもりだとフランソワが話しをする。で、夏休み前の桟橋の一件を小説にするならの仮定として二人は創作する。男は女が桟橋で待っていることを確認して、会わずに立ち去ると、フランソワは言う。マルトはそれは無意味だと反論する。

20才で世を去った天才作家17才の時の処女作の、17才の高校生を演じるジャラール・フィリップがすごい。

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カテゴリー: Movie