ドン・フリーマンの絵本/とんでとんでサンフランシスコ

作者はサンフランシスコ州の生まれで、ニューヨークに出て、絵の勉強をしながら、ジャズ・トランぺッターとして生計を立てていた、と解説にあったので興味を持った。40年代より子どもの絵を描き始めたとある。ある有名なジャズ・ピアニストのサンフランシスコでのレコーディング・セッションのアルバム・ジャケットに電車の写真が使われている。そのピアニストがまさに電車に乗り込むところなんだ。そのジャケットを連想させるのが本書の最初の見開きの絵だ。海や大きな橋を見下ろすサンフランシスコの街並みが坂道と共に描かれている。もちろん電車も走っている。

1957年の本書はハトのカップルの物語。それで、とんでとんで、というタイトルなんだ。カップルは公園で優しいおじさんからパンをもらったり、ゴールデン・ゲイト・ブリッジで遊んだりしながら、ある場所に巣を作る。そこが他のハトとはちょっと違う場所だということで、ストーリーが展開していく。はらはら、どきどきがあっても最後はハッピーエンド。ちょうど、ロバート・マックロスキーと同じ頃の絵本で、いかにもアメリカの絵本といった感じ。

とんでとんでサンフランシスコ
作 ドン・フリーマン
訳 山下明生
発行 2005年8月 BL出版
FLY HIGHT, FLY LOW by Don Freeman
(c) Don Freeman, 1957

《追記》
『ターちゃんとペリカン』(原題 Come Again Pelican)
ドン・フリーマンの1961年の絵本。幼い男の子が主人公。両親とキャンピング・カーで海岸にやってきた。キャンプのセッティングをしている両親だが、母さんは金髪美人。すその広がったワンピースでいかにも50年代をしているが、なんで海岸のキャンプでワンピースやねん。その両親の横で少年が釣りの支度をしている。少し離れた海岸の杭の上で一羽のペリカンがじっと家族を眺めている。そんな絵からスタートする絵本だが、少年とペリカンのやり取りが笑いを誘う。

ほるぷ出版、1975年10月発行
(2008.7.12)

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カテゴリー: 絵本