表紙の絵だが、おかみさんが飼いイヌと遊んでいる。実はこのイヌ、魔法使いの軽い気まぐれからイヌにされてしまった亭主なのだ。亭主はそのことをカミさんに伝えたくてもできない。カミさんは可哀想な迷いイヌだと思って飼っているのだ。なんともおもしろい話だ。スタイグのほかの本と同じで、ひょんなことから魔法が解けてハッピーエンドだが、わたしはここでも感心するのは飼いネコの描かれ方だ。まだ人間だったときの夫婦ケンカの横にたたずむネコ、家を出ていく亭主を見送るネコ、イヌになって帰ってきた亭主をいぶかしげに見つめるネコ。あくまで脇役だから、じゃまにならないようにさりげなく描かれているのだが、これがまた絶妙なんだ。
Caleb & Kate
by William Steig
Copyright (c) 1977 by William Steig