ウィリアム・スタイグの変身する絵本/Solomon the Rusty Nail

平凡な子ウサギ、ソロモンがある日、釘に変身する術を知ってしまう。この変身術を使って家族を驚かせては楽しんでいたが、夏休みのある日、ネコに捕まってしまう。釘に変身することで危機を脱するが、逃げ出せない日々が続く。ウサギもネコも服を着ていて、まるで人間なのだが、ネコの夫婦から見ると、ソロモンはまるまると太ったうまそうなウサギの子にしか見えないところがおもしろい。変身したまま、家族から離れ、最後は家族と無事に再開と、スタイグお得のパターンだ。

スタイグの絵は一見、雑でノホホンとしているようだが、細部にこだわりがあり、独特な味わいのある絵本になっている。本書での目のつけどころは、登場人物(動物?)の目つきだ。ストーリーは劇的だが、話が淡々と進むので、ど派手なシーンはない。その代わり、目つきなど、小さな表現のちょっとした違いに気づき、ニンマリとしてしまう。

日本語版は「くぎになったソロモン」1989年セーラー出版発行

Solomon the Rusty Nail
by William Steig

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カテゴリー: 絵本