「One Morning in Maine」から5年後の1957年に出版された絵本。Sal は成長して少女になっている。妹のJaneも大きくなり、いまでは二人でヨットを操っている。「Blueberries for Sal」と「One Morning in Maine」がモノクロの線画だったが、本書で大きく変わってカラーになっている。あの細部にこだわった線はなくなった。大胆な筆のタッチに変わったが、線画では表現できなかった霧とか天気の移ろいといった形のないものが描かれている。
ここでは、島での夏の日常が描かれている。夏の終わり、嵐が島を襲い、そして秋を前にして島を去るまでの話だ。視界をさえぎる霧とか、嵐の通り過ぎ去るのを待つ夜とか、ページの向こうに不安を演出している。嵐の去った翌朝、姉妹は倒れた木の根元に先住民族の貝塚をみつける。二人は白人が来るよりもずっと昔、インディアンの子どもたちが立っていた同じ場所にいることを意識する。何かが変わろうとしている。60年代、若い女性に成長した Sal はどんな生活をおくることになるのだろう。
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