写研の書体「ゴナU」は30年前・・・

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写研の書体、「ゴナU」がリリースされたのは1975年。ぼくが写植オペレータのフリーランスとして小さな事務所を構えたのが1977年。当時、丸ゴシック系のナール書体が全盛の中で、ゴナUの登場は衝撃的でした。作者は同じナールの制作者である中村征宏氏です。当初はファミリーとしての計画はなかったようです。ところが、ゴナUより少しウエイトの細い書体の要望がたかまり、ゴナEをリリースします。背景にはライバルのモリサワの「新ゴ」の存在がありました。

gona1ある時、年代は忘れましたが写研の営業マンが三菱銀行の使用書体として、ゴナのウエイトの細いものが完成したと聞かされました。つまり、ゴナファミリーとして大きく動き出したことに驚きました。一書体を揃えるには20万円ぐらいで、そのファリーを揃えるとなるとフリーランスの身には大変な金額だったのです。

ともかく、最終的にゴナファミリーはウエイトバリエーションが7書体。影付きなどのディスプレー書体が4書体と非常に大きなファミリーとして完成します。写真のカタログはその12書体のファミリーの完成直後のカタログです。

上は中の見開きのページで、左からゴナB、ゴナE、ゴナH、ゴナUの見本。下はそのカタログ表紙です。「(C) Shaken 1985.7.1 」とあります。ぼくが アップルの Mac Plus を買うのは、2年後の1987年、DTPは目前に迫っているのですが、だれもがその脅威を微塵にも感じていなくて、ぼくもまた書体の購入資金捻出に苦労していた時代でした。

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カテゴリー: Design