深い余韻を残す絵本 バーバラ・クーニー/みずうみにきえた村

バーバラ・クーニーの作品にはアメリカ合衆国の自然とそこに暮らす人々を描くものが多い。本書もその一冊で、小さな村が大都会のボストンに水を供給するためのダム建設で水没する話。

主人公の女の子の部屋の窓の外を大きなヤナギの長い枝のあいだを風が通り過ぎている夏のある朝から物語が始まる。釣り、ピクニック、ホタル狩り・・・、きびしい冬の村の生活。ある年、町から人がやってきて、ダム建設の話が持ち上がります。

お墓の引っ越し、建物の取り壊し、人々の引っ越し。そしてダムが完成し、7年の歳月をかけて、少女の育った村を水底に沈めます。ある夏の日、すっかり女性に成長して、父親と二人でダム湖にボートをこぎ出します。そして湖底を眺め、そこに夏の日々をかいま見るのです。

1992年の作品です。
文:ジェーン・ヨーレン
絵:バーバラ・クーニー
訳:掛川恭子
発行:1996.10.25 ほるぷ出版

《バーバラ・クーニーの絵本》
旅たちの絵本 バーバラ・クーニー/Hattie and the Wild Waves(おおきななみ)
マイケル・ビダードとバーバラ・クーニーによるエミリー・ディキンソンの絵本/Emily